とあるビジネスマンのエピソード

アメリカでベストセラーの第一位を三年間も独占し、いまもって驚異的なロングセラーとなっているノーマンービンセントーピールの『積極的に考える』という本に出ているエピソードから紹介しよう。

有望な若いビジネスマンである私の友人が、出世することに熱心のあまり、野球人がオーバープレッシングと呼んでいることをするところまで来てしまいました。

彼は非常なスピードで自分を駆り立てる習慣をつくりあげてしまったので、彼が私に書いてよこしたところによると、毎朝ベッドから飛び出すやいなや、すぐさまピッチをあげてしまうのです。

その急ぎぶりというものは、彼の囗をかりていうならば、「そうするほうが早くのみこめるというので、朝食には半熟の卵だけしか食べなかった」はとでした。このような気違いじみたペースは、彼を疲れさせ、お昼ごろにはすっかりくたくたになっていました。

彼は毎晩疲れはてて床に倒れこむのでした。たまたま彼の家は小さな木立ちのなかに立っていました。

ある朝、眠れないままに、非常に早く起きだして、窓辺に腰をおろしていました。

そこで彼はふと、夜の眠りからさめた一羽の小鳥の姿に興味をそそられました。

彼は、小鳥が頭を翼の下に入れ、羽根を自分のまわりにすっかり引き寄せて眠っているのに気がつきました。目がさめると、小鳥はくちばしを羽根の下から引き出し、まだ眠そうな様子をしていましたが、やがて一方の足を思いきり伸ばし、しばらくして今度は翼を足の上に伸ばして、それを扇のようにひろげました。小鳥は足と翼を元どおりにひっこめると、今度は、もう一方の足と翼で同じ動作をくりかえしました。

それからもう一度頭を羽根の下に入れ、快いうたたねをすると、また頭をもちあげました。今度は、小鳥はしきりとまわりを見回し、頭を上にあげ、翼と足を二回ほど大きく伸ばし、それから歌を気持よい、メロディックなその日の賛歌を歌いたしました。そのあとで、大きな枝から飛び降り、冷たい水をひと飲みし、食べものを捜しに出かけて行きました。

神経過敏な友人は、自分にこういいきかせました。「もしあれが小鳥が朝起きるやり方だとしたら、あんなにゆっくりした、気楽なやり方がそうだとしたら、あのようにして一日を始めるのが自分にとってもよい方法でないわけはなかろう」 彼は実際に同じやり方をしてみました。

歌うことさえやってみたのです。そして、歌はとくに  有益な要件であること、人の心を解放する手法であることに気づきました。

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